浅草の月

みなさん、こんばんは。
システムインサイト の 佐藤です。
だいぶ前の話になってしまいますが、「たまごっち」というミニゲームが流行ったことがありました。ご存知の方も多いと思いますが、ゲームの中でキャラクターを育てていくと、餌の与え方や、ゲームを行った回数によって、そのマスコットの成長や、性格が変化してくるというものでした。
爆発的なブームとなったので、このあとに発売される同種のゲームにも、そのロジックやゲーム展開に大きな影響を与えたと思います。
その当時、私の姪が
「お願い。どうしても欲しいの」
と言うので、都内のいろいろな販売店を訪れてみましたが、なかなか入手することができなかったという記憶があります。
その頃の私は、システムエンジニアとして会社員生活を送っていました。当時は、Windows の普及で一般の方にも、パソコンが広く浸透し出した時期でした。その恩恵に与り、私が所属していた会社も、ソフトウェアの売上は右肩上がりという状況でした。
主に、販売管理や在庫管理機能をメインとしたソフトウェアを販売していたのですが、お客様の業種やニーズによってカスタマイズを行っていくということを「売り」にしていました。
ある時、新しいソフトウェアパッケージを開発し、会社として、それを全面的にプッシュして行こうということになりました。確かに、そのパッケージは、以前のものよりも使用感とインターフェイスが改善されていたのですが、私自身は、1点だけ、どうしても納得できない部分がありました。
当然、お客様に対しても、消極的なご提案をしていましたし、逆に、それ以前の商品をお勧めしていました。
そのようなことを続けながらも忙しい日々を送っていたある日、私の上司が、
「君は以前のヴァージョンを売っているみたいだね」
と話しかけてきました。私は、
「怒られるのかなぁ。」
と思いつつも、
「どうしても技術的に納得できない部分があり、もう少し開発期間を延長してからリリースすることが望ましいと感じています。たまごっちみたいにいいものであれば、なにもしなくても売れると思いますが、新しいヴァージョンでは、ちょっと状況が厳しいと思います。」
と率直な意見を述べました。その時は、年齢も若く、そこそこの仕事はしているという変な自信がありましたので、今思えば、本当に生意気な発言をしてしまったなぁと思います。そうすると、その上司は、
「売れないものを売るのが、君たちの仕事なんだよ」
と、穏やかな口調でおっしゃいました。さらに、
「私たちが売っているものは、お客さまにとって、高額だし、簡単には買って頂けないと思うよ。それに、一般の方は、うちのソフトと他社のソフトの機能的な違いも、なかなか実感できないと思う。」
さらに、話は続きました。
「でも、それをきちんと説明して、メリット・ディメリットを理解して頂くのが君の仕事なんだよ。それができれば、必ず売れる商品だと思うし、それができなければ、君はまだ勉強が足りないということ」
とお話しされて、出かけられてしまいました。
確かに、パーフェクトな商品を開発するのはとても難しいことですし、ある意味では、パーフェクトな商品はこの世に存在しないかもしれません。それらの事をクライアント様に正しく説明し、商品の良い点、悪い点を理解して頂くことが、営業に携わる者の仕事だと思います。
「売れないものを売るのが、君たちの仕事なんだよ」.....
私にとってこの言葉は、今でも忘れられないものとなっています。
現在、その上司は退職されて、穏やかな毎日を過ごされているのですが、一年に何度かの季節のごあいさつのやり取りは、今でも続けさせて頂いております。
●ご質問、ご不明点等がございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。